モンゴルカシミヤセーター

2024年11月販売開始予定

手にした瞬間始まる、カシミヤとの特別な旅。

モンゴルの雄大な自然に育まれたカシミヤから生み出す、シンプルで長く愛用したいニットシリーズがこの秋登場します。着るたびに感じる柔らかさ、暖かさ、そして心地良さ。お手入れをしながら大事にすると、まるでその愛情に応えるようふっくらと空気を含み育っていきます。この変化は、あなたとの絆が深まっていく証。他の誰のものでもない、あなただけの一着へとなっていきます。

「愛着を持って長く着る。」簡単そうで難しいこの理想に近づくために、選んだ素材はカシミヤでした。繊細なイメージのある素材ですが、正しい扱いをすれば実は長く愛用できるアイテム。知れば知るほど魅力を感じるカシミヤについて、紐解いていきましょう。

このコンテンツはカシミヤシリーズ販売開始までの間、不定期で更新し情報をお届けします。なぜカシミヤアイテムを展開するのか、なぜモンゴルなのか、ものづくりの背景を知っていただくためのよみものです。

‘24/08/08

自然がもたらすカシミヤの機能性と美しさ。

第2弾の今回は、引き続きカシミヤが持つ自然の機能性と、それがなぜ「長く愛用する」という点につながるのかをお伝えします。ポイントは「普遍性」だと考えており、時代や流行、年代に左右されない上品な輝きは何年経っても色褪せることがありませんし、使いこむほどに味わいが増し着る人との絆を深めていく素材だと理解を深めていきました。

吸湿性と暖かさの関係

前回、カシミヤが暖かい空気を閉じ込めることが出来る断熱性を持っていることに触れましたが、暖かさの理由はそれだけではありません。カシミヤは自重の約30%もの水分を吸収することができ、キューティクルが開閉し呼吸をするように吸湿と放湿を繰り返します。体から発する水蒸気を繊維内部で暖かさに変え、かつ蒸れないよう調整することで快適な着心地を生み出しているという訳です。つまり、カシミヤは単に外気を遮るだけでなく、私たちの体温を利用して積極的に暖かさを生み出しているのです。

さらに興味深いのは、この吸湿と放熱のサイクルが、外気温や体温の変化に応じて自動的に調整される点です。暑くなれば余分な水分を放出し、寒くなればより多くの水分を吸収して熱を生み出します。これは、天然繊維だけが持つ独自の機能性です。

美しい光沢はキューティクルから

暖かさから変わって、カシミヤの見た目の上質性の話を。カシミヤは艶のある美しい光沢を纏っていますが、ウールとは一線を画すその光沢はどうして生まれるのでしょうか。カシミヤ繊維の表面は、魚の鱗のような重なり合ったキューティクルで覆われており、その突起が少なく平滑であることがポイントで、光を均一に綺麗に反射することで柔らかな艶や明るさを持ちます。

華美な美しさではなく、柔らかな光を放つようなカシミヤの表情は着る人の個性を引き立てつつも主張しすぎることがありません。着る人それぞれの魅力を自然に引き出す点もカシミヤに憧れる理由です。

独特のぬめりとしっとりとした手触り

カシミヤに触れると、どこかしっとりと、ぬめりのある質感に気付きます。これは、カシミヤが持つ天然の油脂(ラノリン)が表面を覆っているから。カシミヤの柔らかさや手触りの良さもこのラノリンによるものですが、カシミヤが長く愛用出来る素材であると説明出来る要素の一つでもあります。

天然の防水層:若干の撥水性があり、防汚性にも優れています。カシミヤに何かこぼしてしまってもすぐには染み込まないので、慌てず拭けばシミになりにくいのです。

耐久性の向上:繊維を保護し、摩耗や損傷から守ることでカシミヤセーターの寿命を延ばしてくれます。

このように、カシミヤが持つ機能性にはわたし達が追求する「長く愛用する」ための要素が詰まっているのです。こんなに多機能な素材であることに驚くばかりですが、それはやはり寒暖の差が激しい環境に適応したカシミヤ山羊に与えられた自然の恩恵。似たようなメリットを追求した化学繊維の素晴らしさはもちろんありますが、長い年月をかけて自然が生み出した素材の魅力には、やはり特別なものがあります。カシミヤのセーターを身に纏うとき、肌に触れる優しい感触、自然な光沢、そして吸湿性と保温性のバランスは唯一無二のものです。

カシミヤに魅せられたわたし達は、カシミヤ素材のオリジナルウエアを展開することにしました。カシミヤが生まれる国の中でも、モンゴルを選んだ理由について次回はお伝えします。

‘24/07/26

カシミヤを選ぶ理由。

カシミヤは暖かい。けれど繊細で扱いが難しそう。そんなイメージがあったカシミヤ素材ですが、その一つ一つの理由を探ってみることにしました。まず暖かさの理由から。他の毛のものとは何が違うのでしょうか。

カシミヤはモンゴルや中国、イランなど夏と冬の寒暖差が激しい過酷な山岳地帯で生きているカシミヤ山羊から取れる天然の産毛のことです。冬はマイナス30℃という厳しい環境で生き延びるために、カシミヤ山羊の表面は粗野で太い獣毛が覆っていますが、その内側には細く長く柔らかい産毛があります。その産毛こそがカシミヤの暖かさの所以で、繊維が細ければ細いほど空気を抱え込み、そして体温を外に逃さないという断熱材の役割を果たしています。

そしてこのカシミヤ毛の「細さ」こそが、カシミヤをカシミヤたらしめる特徴。今回は、繊維の細さがもたらす暖かさと軽さ、そして手触りの良さについてご紹介。

細さ=カシミヤの暖かさ最大の特徴

髪の毛よりも細い、わずか14-16ミクロンのカシミヤ繊維が、驚くほどの保温性を生み出します。一般的なウールが25-30ミクロンほどの細さなので、カシミヤはより多くの微細な層を作り出し、空気を閉じ込めることができる構造だと分かります。さらに、カシミヤは熱伝導率が低いため、薄くても繊維の中に閉じ込めた暖かい空気を逃さないのです。

この繊細な構造が生み出す密度の高さも、カシミヤの強み。同じ重さでより多くの繊維と空気の層を含むため、軽さを保ちながら優れた断熱効果を持っていることは着ていて心地が良いと感じる点です。実際、カシミヤセーターを着ていると上半身だけ、分厚い毛布に包まれているように内側からぽかぽかしてきます。

最小限の"チクチク感"

カシミヤやウールなどの天然毛のセーターを着る上で気になるのは、その「チクチク具合」ではないでしょうか。人によって肌の敏感さは異なりますが、誰だってチクチクはしないほうが良いに決まっています。

さてその「チクチク具合」ですが、それも毛の繊維の細さに関係しています。人間の肌は30ミクロン以上の太さの繊維を感知すると「チクチクしている」と感じるそうで、加えて太い繊維ほど硬く、皮膚を刺激します。先述したようにカシミヤ繊維は14-16ミクロンと細く、そして柔軟で皮膚に触れても簡単に曲がります。さらにカシミヤは1年に1度、生え変わった毛を櫛で梳くようにして採取します。毛を切る訳ではないので断面がスパッとカットされた状態にならず、毛の先端は細いまま。それが糸になりセーターになった時に、肌への刺激を抑えてくれるのです。もちろん個人差はありますが、数字が示す繊維の細さに加え、実際に着用してみるとその柔らかさ、ふわふわ感に驚きます。

カシミヤの良さ、少しずつ分かってきました。次回は、その機能性についてもう少しお伝えします。暖かさと吸湿の関係や、カシミヤ独特の光沢はなぜ生まれるの?という点に着目します。

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Cashmere Crewneck Sweater & Cardigan