vol.2 自然がもたらすカシミヤの機能性と美しさ。
第2弾の今回は、引き続きカシミヤが持つ自然の機能性と、それがなぜ「長く愛用する」という点につながるのかをお伝えします。ポイントは「普遍性」だと考えており、時代や流行、年代に左右されない上品な輝きは何年経っても色褪せることがありませんし、使いこむほどに味わいが増し着る人との絆を深めていく素材だと理解を深めていきました。
吸湿性と暖かさの関係
前回、カシミヤが暖かい空気を閉じ込めることが出来る断熱性を持っていることに触れましたが、暖かさの理由はそれだけではありません。カシミヤは自重の約30%もの水分を吸収することができ、キューティクルが開閉し呼吸をするように吸湿と放湿を繰り返します。体から発する水蒸気を繊維内部で暖かさに変え、かつ蒸れないよう調整することで快適な着心地を生み出しているという訳です。つまり、カシミヤは単に外気を遮るだけでなく、私たちの体温を利用して積極的に暖かさを生み出しているのです。
さらに興味深いのは、この吸湿と放熱のサイクルが、外気温や体温の変化に応じて自動的に調整される点です。暑くなれば余分な水分を放出し、寒くなればより多くの水分を吸収して熱を生み出します。これは、天然繊維だけが持つ独自の機能性です。
美しい光沢はキューティクルから
暖かさから変わって、カシミヤの見た目の上質性の話を。カシミヤは艶のある美しい光沢を纏っていますが、ウールとは一線を画すその光沢はどうして生まれるのでしょうか。カシミヤ繊維の表面は、魚の鱗のような重なり合ったキューティクルで覆われており、その突起が少なく平滑であることがポイントで、光を均一に綺麗に反射することで柔らかな艶や明るさを持ちます。
華美な美しさではなく、柔らかな光を放つようなカシミヤの表情は着る人の個性を引き立てつつも主張しすぎることがありません。着る人それぞれの魅力を自然に引き出す点もカシミヤに憧れる理由です。
独特のぬめりとしっとりとした手触り
カシミヤに触れると、どこかしっとりと、ぬめりのある質感に気付きます。これは、カシミヤが持つ天然の油脂(ラノリン)が表面を覆っているから。カシミヤの柔らかさや手触りの良さもこのラノリンによるものですが、カシミヤが長く愛用出来る素材であると説明出来る要素の一つでもあります。
天然の防水層:若干の撥水性があり、防汚性にも優れています。カシミヤに何かこぼしてしまってもすぐには染み込まないので、慌てず拭けばシミになりにくいのです。
耐久性の向上:繊維を保護し、摩耗や損傷から守ることでカシミヤセーターの寿命を延ばしてくれます。
このように、カシミヤが持つ機能性にはわたし達が追求する「長く愛用する」ための要素が詰まっているのです。こんなに多機能な素材であることに驚くばかりですが、それはやはり寒暖の差が激しい環境に適応したカシミヤ山羊に与えられた自然の恩恵。似たようなメリットを追求した化学繊維の素晴らしさはもちろんありますが、長い年月をかけて自然が生み出した素材の魅力には、やはり特別なものがあります。カシミヤのセーターを身に纏うとき、肌に触れる優しい感触、自然な光沢、そして吸湿性と保温性のバランスは唯一無二のものです。
カシミヤに魅せられたわたし達は、カシミヤ素材のオリジナルウエアを展開することにしました。カシミヤが生まれる国の中でも、モンゴルを選んだ理由について次回はお伝えします。