モンゴルカシミヤセーター

2024年11月販売開始予定

手にした瞬間始まる、カシミヤとの特別な旅。

モンゴルの雄大な自然に育まれたカシミヤから生み出す、シンプルで長く愛用したいニットシリーズがこの秋登場します。着るたびに感じる柔らかさ、暖かさ、そして心地良さ。お手入れをしながら大事にすると、まるでその愛情に応えるようふっくらと空気を含み育っていきます。この変化は、あなたとの絆が深まっていく証。他の誰のものでもない、あなただけの一着へとなっていきます。

「愛着を持って長く着る。」簡単そうで難しいこの理想に近づくために、選んだ素材はカシミヤでした。繊細なイメージのある素材ですが、正しい扱いをすれば実は長く愛用できるアイテム。知れば知るほど魅力を感じるカシミヤについて、紐解いていきましょう。

このコンテンツはカシミヤシリーズ販売開始までの間、不定期で更新し情報をお届けします。なぜカシミヤアイテムを展開するのか、なぜモンゴルなのか、ものづくりの背景を知っていただくためのよみものです。

‘24/09/17 vol.4

定番デザインでつくりたい

今回モンゴルのカシミヤでつくったのは、クルーネックセーターとカーディガンの2型です。

洋服を長く着るための要素の一つに「デザイン」がありますが、やはり定番ものが一番だと考えた上でのラインナップになりました。セーターといえばこういう形だよね、その想像の延長線にあるデザインになっています。年代問わず着られて、毎年ワードローブから出してきても違和感がないのはそういうデザインです。ましてやカシミヤ。シーズンで使い捨てるのではなく、時を重ね表情の違いを感じた上で尚大事にしていきたいと思える、そんな一着を目指して。

まずは、糸とゲージのお話を。

2アイテムに共通しているこのカシミヤニット素材は、26番手の双糸を12ゲージの片畦で編み立てています。具体的に説明していきますね。

26番手:1gあたりの繊維を伸ばすと、どのくらいの長さのニット糸になるか、ということを表していて、26番手の場合は「1gのカシミヤ繊維を26mに伸ばした糸の細さ」ということです。数字が大きければ大きいほど細い糸となり、26番手は比較的細い番手として扱われます。しなやかさと上品な表情が生まれ、ニットウエアとして着やすい厚みになる糸です。

双糸:糸を2本撚り合わせて1本にした糸のことを双糸といいます。2本を撚り合わせることで強度が生まれますが、ニットに求める柔らかさや風合いを実現するためには撚りが強すぎてはいけません。反対に撚りが甘すぎると繊維が抜けてしまうので、強度と柔らかさのバランスを取るためには長い繊維を使う必要があります。お分かりでしょうが、カシミヤ繊維の長さはここでもメリットとなっているんですね。

12ゲージ:ゲージとは、編み目の大きさのこと。12ゲージは目が詰まったハイゲージニットと呼ばれる部類ですが、ハイゲージの中では編み目は大きい方です。なので薄いアンダーの上に一枚で着ても体の線を拾わない安心感がありますし、コートの中に着てもぶくぶくすることなく、ちょうどいい塩梅に。

片畦編み:ニットに表情を与えるのはその編み方です。片畦は、編み目が立体的に見えどちらかというとカジュアルな印象ですが、カシミヤのほわほわとした繊維がその凹凸を埋めるように、ウールには出せないカシミヤの片畦編みならではの表情になりました。伸縮性が出ることもこの編み方の利点です。

3色のバリエーション:NATURAL BEIGE、DARK GREY、BORDEAUXの3色を準備しています。奇をてらわず、長く寄り添ってくれるであろうカラーを選びました。この中でもNATURAL BEIGEは染色していない、カシミヤ山羊の毛そのままの色で、その分柔らかさも一番実感できます。

モンゴルカシミヤ クルーネックセーター

身頃は少々丸みを持たせ、カシミヤニットが持つ優しい空気感に寄り添うシルエットを意識しています。

こだわったのはクルーネック部分で、スウェットのように少し詰まったデザインにしています。一枚で着ても首まわりが寂しくならず、ロンTを重ね着しても首元にチラッと見えるように。加えると、脱ぎ着する上でセーターに一番負荷がかかるのはネック部分なので、長く着るためにその部分が伸びにくいよう配慮したということもあります。

カシミヤ素材自体は届いた段階で柔らかく風合いのある仕上がりとなっていますが、セーターとしてのサイズ感は着ていくうちに次第に目のテンションがゆるまり、自然なフィット感になっていきます。ぜひ大事に育てていただきたいと思います。

モンゴルカシミヤ ボタンレスカーディガン

カーディガンに関して、定番品と少し違うのは「ボタンレス」であること。その名の通りカーディガンの前を留めるボタンがありません。カーディガンはボタンが付いていて前を閉めることができるのが一般的だと思いますが、今回はその要素を無くしました。

なぜかというと、そのほうがシルエットが綺麗だったからです。ボタンがあるともう片方には対となるボタンホールが存在し、どうしても前身頃の一部が重なることを前提に設計しますが、それがないことでフロントがよりシンプルになり、ニット生地の落ちるラインが出ます。

ボタンがない代わりという訳ではありませんが、デザイン要素として左右にポケットを付けました。ニットなので重いものは入れられませんが、リップやイヤホン、ヘアゴムなどを忍ばせてください。

2枚合わせてセットアップに

クルーネックカーディガンとボタンレスカーディガンを合わせて着ると、セットアップが完成します。最近はアウターがとても優秀な上に暖冬気味なので寒冷地でない限り中にたくさん着込む必要はありませんが、きっちり合わせた印象が出るセットアップは使えると思います。

※アイテム画像は、1stサンプルです。実際に販売するものとはサイズ感が若干異なります。

‘24/08/28 vol.3

モンゴリアンカシミヤのバランス感

長く着られるオリジナルのカシミヤアイテムをつくりたいと決意したZUTTOですが、ではどこのカシミヤで、どういうものをつくろうか。バランスの良いカシミヤを探していた中、ご縁があってモンゴルのカシミヤをご紹介いただきました。

ここでいうバランスとは、「品質」と「価格」のこと。カシミヤアイテムは、セーターにしてもマフラーにしてもウールと比べるとやはり高価なもの。もちろん、カシミヤ山羊の希少性があるので当然のことなのですが、セーター1枚10〜15万円がザラにあるカシミヤ業界。素材の本当の価値が分からなくなるような値段設定が蔓延る中、安価なものを追求したい訳ではなく、適切で手の届くもの、そして長く愛用できるカシミヤがあればと探していたところ、品質と価格に納得のいくものがモンゴルのカシミヤでした。

モンゴリアンカシミヤの特徴

・カシミヤの中でも超長毛である

モンゴリアンカシミヤの毛は平均40mm以上で、一般的なカシミヤ毛より6-8mm長いと言われています。毛が長いことのメリットとしては、丈夫で耐久性の高い製品となること。また、長い繊維は互いにより強く絡み合うため、表面からの繊維の脱落が少なくなります。これにより、ピリング(毛玉)が出来にくく、製品の外観が長く美しく保たれます。

そして、繊維が長いことは実は生産時の廃棄ロスの少なさにも繋がっています。それにより余分なコストが発生せず、最終価格も抑えられるのです。

・伝統的な生活様式=自然環境への配慮がある

近年、ファストファッションブランドによる使用でカシミヤをより安価に採取しようと、一部地域のカシミヤ山羊の過放牧が問題になっています。本来、遊牧民の家畜として1年を通して一緒に移動しながら生活してきたカシミヤ山羊ですが、一部地域では商業的な側面を重視して定住したことで、山羊が牧草地を荒らし砂漠化が進んでいると聞くことがあります。

今回カシミヤの素材調達を依頼した遊牧民たちは、カシミヤ山羊を自然放牧する伝統的な暮らしをしており、彼らのカシミヤ山羊は1日15km程度自由に移動してストレスなく豊かな自然の中で育っています。山羊が草を食べても移動して、移動している間にまた草が生えてくる、牧草地の自然再生の機会を輪作のような形で自ら創出しています。

そうした自然な良環境にいるからか、採取される柔毛は他国と比べ一頭あたり20%ほど多いそうです。

・持続性とトレーサビリティ

今回ZUTTOのカシミヤアイテムの製造を依頼した工場は、SUTAINABLE FIBERE ALLIANCEという、モンゴルや中国でのカシミヤの持続可能な生産を目指した認証団体に加盟しています。この団体では、カシミヤ山羊の生育及び関連工場が自然環境に与える影響を少なくするための取り組みを行い、アニマルウエアフェアの活動を監視し、労働者の公正な雇用と労働条件、児童労働の防止、伝統的な地域社会の保護などを掲げています。

このように、カシミヤの品質や製造背景に魅力があることが第一ですが、カシミヤ工場とほぼ直接やり取りができることで中間マージンが発生せず、最終的なカシミヤセーターとカーディガンの価格が上がることなく、理想としていた品質と価格のバランスが取れたことも、選んだ要因です。

どんなに良いものであっても手に取りたいと思えるストーリーと品質、そして納得のできる価格でないと意味がありません。今回、わたし達がモンゴリアンカシミヤを選んだのにはこういった経緯がありました。

次回は、展開予定のセーターとカーディガンのデザインについて。1stサンプルをお見せしながらご紹介していきます。

FEATURES

カシミヤものづくりのよみもの

’24/08/08 vol. 2

自然がもたらすカシミヤの機能性と美しさ。

カシミヤの機能性はなぜ「長く愛用する」という点につながるのでしょうか。ポイントは「普遍性」だと考えており、時代や流行、年代に左右されない上品な輝きは何年経っても色褪せることがありませんし、使いこむほどに味わいが増し着る人との絆を深めていく素材だと理解を深めていきました。

‘24/07/26 vol. 1

カシミヤを選ぶ理由。

カシミヤは暖かい。けれど繊細で扱いが難しそう。そんなイメージがあったカシミヤ素材ですが、その一つ一つの理由を探ってみることにしました。まず暖かさの理由から。他の毛のものとは何が違うのでしょうか。

Gallery

Cashmere Crewneck Sweater & Cardigan